自衛隊は実戦経験がないから弱いとかどうとかという議論について

海上自衛隊専門用語

海上自衛隊用語は上記のリンクでも紹介したように色々あります。しかし海上自衛隊ではほぼ聞かない・言わない言葉があります。

 

はたしてその言葉とは...

『実戦』 

です!!

他の自衛隊ではどうかわかりませんが、海自では『実戦ではな~!!』なんて教官や上司先輩は言いません。所長も言ったことありません。もちろんそれは日本の自衛隊が戦争というものを経験していないということもあると思いますが、海自の洋上部隊の特殊性もあるからだと思います。勿論『実戦』の定義も曖昧ですしね。一般人が思う『実戦』は恐らく敵とドンパチ大砲を撃ち合い戦争することでしょうが、海上自衛隊の護衛艦部隊にとっての実戦とは自分の命の重みが分かる場面のこと、と認識してください。

 

(※99年に発生した不審船事案に出動し、はじめて実際の場で国籍不明ではありますが”あい対する標的”というものに対して爆弾を落とし主砲をぶっぱなした500名近い隊員はいます)

 

そしてその命のかかる場面とはそれは、海という大自然の脅威をもろに受けるからです。

この嵐の中海に落ちれば船は停止できないため、おそらく回収不能、待つのは死のみです

 

先日の洋上補給のブログでも書きましたが、海の上では常に命がけです。海中転落などもってのほかですし、毎回の出入港の甲板作業時の舫にロープに、錨作業、洋上での様々な訓練、作業一つとして気の抜けるものはないように思います。台風や低気圧に遭えば船がそのまま横転すんじゃないかくらいの時もあります。なので、海自の躾というか指導方針というか、心構えとして『常在戦場』というものがあります。『心は常に戦場、毎日が戦場』みたいな感じでしょうか。

 

それはもちろん教育隊の時からです。

陸上自衛隊の戦闘訓練は陸でありますよね!?匍匐前進とか。陸自や空自の人は怒るかもしれませんが陸の戦闘訓練で通常死ぬという事はないと思います。対面で実弾を撃ち合うわけではありませんし。もし一つあるとすれば銃の暴発か森に入って遭難かくらいでしょうか。

 

しかし海自の船に乗るための訓練の水泳や短艇と呼ばれるボート訓練などは実際の海であります。溺れれば死にますし、短艇を下ろす際にダビットと呼ばれる短艇を吊るすクレーンみたいなものを人力で揚げ降ろしするのですが、その際もロープが弾ければ大けがしますし挟めば指を詰めることになります。だから教育隊の時の特にこの短艇教務の時の教官たちは凄まじいです!!命がかかるような場面では凄い怒鳴られ蹴られます!!もちろんそれは命の場面だからです。これを怠り、暴行だパワハラだとか言って甘くすればそいつはいずれどこかで死ぬでしょうし、上司になればたぶん部下を殺します❕❕海自には向いていないでしょう!!言いすぎかもしれませんが、それほどに海自ではいつも命がけなのです。

海に出てからの訓練中だけでなくその準備も命がけなのです!!

 

それともう一つの要因は、現代の海戦は有視界内では行われないからだと思います。現代の海戦は、ほぼコンピューター制御のCICと呼ばれる戦術情報が集まるところで、レーダーで遠距離でとらえた目標を敵・味方・不明に識別し、画面に記し、それに向けて淡々と発射ボタンを押すだけだからです。訓練でも実戦だったとしてもそれは変わりません。ただ〇なら味方、△なら敵、▢なら不明とレーダーや種々のコンソール上に表示されるのは変わらないのです。陸上戦闘のようにはっきりと肉眼で敵というものを認識し、攻撃するわけではないからです。そこに実戦と訓練の違いは海自の場合は感覚がないのです。

 

日本の自衛隊は実戦経験がないから弱いだのどうとか言うマスコミやマニアの方がいらっしゃいますが、軍隊の強さは実戦経験かどうかではなく、命のかかる場面での経験があるかどうか、命のかかる場面で命を懸けるその覚悟や認識があるかどうかの差でしかないと思っています。

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