艦船での仕事 護衛艦と補給~生鮮食料などの港での補給作業~

護衛艦も人が暮らすので、港では水や食料の補給、燃料や弾薬の補給など様々な補給作業があります

腹が減っては戦は出来ぬ

古来より飢えて戦争に勝った例はありません。飢え、補給の失敗は作戦全体の失敗です。でも今回の話は、通常の補給の話です。

帆船時代は生鮮食料を保存できずに、船乗りは壊血病に悩まされました。しかし現代の船では壊血病は発生しません。保存技術の進歩により生鮮食料が航海中も食べられるからです。現代の護衛艦では、食事で刺身も出るのですよ!!

 

でもそれを食べるためには食料を補給しなくてはなりません。では普段どういう風に食料などを艦内に補給しているか紹介いたします。

 

その前に艦の繫留状況と、桟橋、舷門のおさらい

港内の繫留状況、桟橋、舷門、各艦の乗員の動きを図解したものです。他艦の舷門付近の桟橋は基本通らないことが多い

 

海自の根拠地ではどこでもメザシ繫留が当たり前となっています。もし1隻につき岸壁にそれぞれ係留しては場所が足りないための措置で、狭い港内、限られた繫留桟橋、係留岸壁の有効活用、収納上手と言ったところでしょうか!?

 

上記の図を理解したところで補給の話です

生鮮食料は海自では生糧品といい、米や調味料など冷蔵しなくても保存のきくものは貯糧品と言います

これらは当然隣接の補給所から運ばれてきますが、桟橋付近まではトラックまたは専用カーゴで運ばれてきます。そして上記の各艦利用の桟橋付近まで補給品が来たら、舷門当番が『総員生糧品(貯糧品)搭載用意』を当直士官から下令され艦内マイクで総員のサイドパイプ吹奏の後に達します。すると、各当直についていて来れないものを除き、階級の上下関係なく(幹部は除外)ぞろぞろと艦内から這い出てきて、上図の各艦の通路上に互い違いに並び、なんと!!手渡しで!!流れるように!!食料品を流していくのです!!!!

そして流れるように自艦に達した食料品たちは、生料品搭載用エレベーターもしくはコンべレーター(ベルトコンベアーの上下になったようなもの)がある船はエレベーターで甲板上から艦内へ、ない艦はさらに人の列は艦内に伸び、手渡しで艦内に運び入れていくのであります!!

そうです!!いわゆる人海戦術のバケツリレー方式であります!!

 

艦艇見学などで、フォークリフトやクレーンなどで一気に甲板上に上げて補給しているなどと知ったかぶりして説明してくれているミリタリーオタクなども見たことがありますが、それは米軍の空母などの一部の話であり、海自ではほとんどが上記の搭載方法です。

所長の在職時は、いずも型やひゅうが型はなかったのでわかりませんが、在来護衛艦、マニアが誇りたい最新鋭のイージス艦ですらもちろん人海戦術のバケツリレー方式でやっています!! イージス艦万能論者の方々はがっかりしたでしょうね(笑)

 

さてここでいくつか問題があります。

それは、メザシ繫留の場合、陸からの隻数と距離、係留している各艦の甲板の横幅とその合計の距離の問題、要するに横幅の広い船がメザシ繫留していれば隻数と共に距離は増大します。するとそのうえ最外側艦の位置ですと乗員の数が問題になります。必ずしも補給を受ける時が内側艦になるとは限らないのです!!

 

逆に言えば、イージス艦などの乗員が多い船で内側艦で搭載する時などは、正直総員は要りません。すると、一応は総員出てきますが、階級の若いものが自分で判断し、階級の上下、同階級なら序列を考慮して列を作り、あぶれた上級者たちは引き上げていくことが出来ます。

 

しかし外側艦で乗員の少ない船などは列が艦内まで到達せず、一度甲板上迄上げてから再度、列を組みなおし艦内に搭載していく2度手間あることもあります。

 

運ぶ時の注意点

・重いものは手渡す前に重いです!!と声をかけること(突然重いのが来ると腰に危ないため。声をかけておくと構えることが出来る)

・バランスの悪いものがある

・冷蔵、冷凍庫に入れるための順番があるため運ぶにも順番が決まっている。調理員が指示してくれる。

・生料品の海中落下(これは初歩のミスで昔なら多分シバかれた)(所長は見たことはありません)

 

艦内にある自販機の補給は...!?

艦内にはどこの船も大抵コカ・コーラの自販機がありますが、普通の陸にある会社にある自販機は基本、自販機の設置会社などのジュース販売会社のルート配送係が補給しますが、護衛艦の場合、その消費量が半端ないので、補給する箱数も凄い量です。さらに上記の距離の問題もあり、販売会社のジュースを積んだトラックは陸の桟橋までしか来ず、そこからは生糧品や貯糧品と同様、清涼飲料水搭載としてバケツリレー方式で運び入れていきます。当然配送会社のドライバー一人では出来ませんからね...200~300箱積み込む時もありますのでね...

 

 

その量たるや...

通常、生糧品の搭載は1~2週間分。貯料品なら30日分とかが基本になります。きついのが貯料品のコメ類ですね。30キロの袋のデカいので来ますのでね...もう嫌になります...

海外派遣前になりますと、何日分とかではなく、トンに表記が変わります。そして連日搭載の日々が続きます。米や清涼飲料水を数十トンに渡り搭載し終えると、なんと喫水線が下がっているのです!!それを人力で運び入れているわけですからね...

 

艦艇乗員の不人気の原因の一つはこういう補給やり方にもあると思います。陸上部隊などはこういう食料の補給作業は関係職種や、自販機は普通の会社と同じように民間のルート販売会社のトラックの運転手がやりますしね

しかし船は総員作業なのです...しかもレーダー員も機関課員もみな自分の仕事を中断して行っているわけです。こういう雑多な仕事を外部委託や、陸上部隊の補給部隊にやらせることが出来れば、乗員の負担軽減にもなり、乗員の希望者も増えるかもしれないですよね...

 

 

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