元海上自衛官の護衛艦生活 ~護衛艦の緊急出動態勢と旅行計画書~

自衛隊は緊急職です

自衛隊は、救急や消防、警察のような身近な緊急職ではありませんが、緊急職でもあります。

災害派遣に、国籍不明機に対するスクランブル、敵国の侵攻もないとは言えません。

 

そんな時に備えて自衛隊にはどんな緊急体制で、自衛官は生活しているのでしょうか。

 

特別職国家公務員

特別職国家公務員には、以前も書きましたが休みとか残業、休日出勤とかの区切りはあってないようなものだと書きました。24時間365日何かあった時のために、あらかじめそれらを含めて給料が決まっています。なので何かあっても上層部は残業代や休日出勤手当を気にすることなく召集をかけることが出来ます。

 

そして護衛艦で一番多い緊急出港は、台風です。台風の場合は船が岸壁に打ち付けられないように、出港して台風をやり過ごすと紹介しました。

 

その他にも、色々と事件があれば緊急出港します。近年では、北朝鮮が弾道ミサイルを発射する兆候があると、ミサイル監視のために緊急出港することが多くなりました。また過去には、ロシア軍艦による、領海付近での航行に関する監視、津軽海峡などの軍艦の通行に関する出港などもありました(国境監視的な意味)。

 

任務即応艦、応急出動艦

事件の時には全艦出動ではなく、あらかじめ最初に出動する艦は決められています。この期間はどの船、次の週はまた違う船、と週替わり、月替わり、各艦の行動予定を考慮し決められています。

そしてもともと、護衛艦乗員は外出できる範囲が決められています。所長が在籍していた舞鶴の船では舞鶴から概ね4時間以内で帰ってくることが出来る周辺の地図で示されていました。どこからどこまでとは細かく覚えていませんが、所長は富山出身ですが、舞鶴から富山県は範囲外でしたので出られませんでしたし、石川は一部範囲内でした。

 

そして、任務即応艦や、応急出動艦などの緊急指定を受けるとこの範囲が狭まります。概ね2時間での帰艦範囲となります。そうすると同じ京都府内でも、舞鶴から京都市内でも微妙な位置になります。

なので、長期休暇中にこの指定艦になっていると遠方出身者は帰省することが難しくなりますし、旅行などの行楽にも差支えが出てきます。しかし、所掌のパートで時間内に帰還できる人員が確保できるなら、遠方への外出許可も出ることもあります。

 

旅行計画書・海外渡航申請

また、即応艦指定のない通常時の休暇、休日の時に、4時間の範囲外に出て遊びに行くときは場合は旅行計画書という行動予定書を提出しなくてはなりません。出発時から到着場所までの、移動手段、電車の乗車便名、乗換駅、航空機の搭乗便、高速道路などの利用道路、移動時間、到着時間、滞在先の住所などを書き、許可を貰わなければなりません。帰省先が範囲内の人は要りませんが、家族で旅行に行くという人は、必要になります。当然海外でも必要になります。海外の場合は海外渡航申請書というのを出さなければなりません。

 

旅行計画書は、艦内での処理決裁ですが、海外渡航申請は、昔は総監決裁、現在は部隊司令にだったはずです。なので海外渡航申請は昔は海外旅行の2か月前くらいから提出しなければなりませんでしたが、今はもう少し遅くても大丈夫なはずです。

 

 

民間人になってみて、何のストレスがなくなったかと言えば、やはりこのストレスは大きかったように思います。そんなに緊急出港に遭遇することはありませんが、やはりいつ呼び出され、休暇が取り消しになるのかという精神的なプレッシャーを相当感じていたのだと思います。

 

しかし、実際には、この旅行計画書、例えば神戸に行く場合は必要ないけど、明石はいるなんてほんのちょっとの距離の違いで遊びに行く場合はみんな大抵提出していませんでした。緊急に出動すると言っても、船の出港には時間がかかるので、そこそこ帰艦命令も猶予がある時間で召集がかかります。緊急性のレベルの違いとかでしょう。あと結局ある程度乗員がいないと任務に支障が出るので、ある程度帰艦できる時間だと思います。ただし、その時間が来たら、たとえ戻ってきてない人がいても無情にも船は予定通り出港します。

 

2~3回経験の台風以外の本当の緊急出港では、やはり何人かは間に合わずおいていかれていました。出港に間に合わなかった乗員は、同部隊の僚艦預かりとなるか、総監部の補充部という、転勤の合間の待機場所みたいなところ預かりとなり、自分の艦が帰投する時に港で待ちます。その時は、所長は置いてかれたことはないのですが、船側で見ていると針の筵にいるような顔でみんな入港作業を終えるのを待っているのです...。

 

 

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