海上自衛隊・船乗り用語辞典

はたかぜ型から発射されるSM-1ミサイル

※小生は退職してから10年超過ぎてるので現在とは違う所も多々あると思います。スペック練習員、砲雷科射管員元3曹(普通科のみ)

艦艇勤務・甲板用語

・シーマンシップ...まぁ、いろいろあるが狭い艦内、限られた物資、厳しい環境の洋上での作業に必要な船乗りとしての技能や精神性を指す。 よく言われるのが『スマートで、目先が利いて几帳面、負けじ魂、これぞ船乗り』

投錨...錨泊にしろ仮泊にしろ錨を下ろすことを投錨という

錨泊(びょうはく)...港内または洋上に錨を下ろし停泊すること。海の上なので陸に上がるときは小型の船を使って人員を輸送する。

(簡単に言うと港は着岸する所だけではなく、堤防近辺の海上も港の範囲に含まれる)

仮泊(かはく)...錨泊の中でもすぐに抜錨(ばつびょう)して出港する場合のこと。(上陸はできない)

(台風)避泊...台風が来ると港内も荒れてしまい船が岸壁に打ち受けられたり、ひどい場合は打ち上げられてしまうので、近郊の波静かな港へ避難し錨を下ろしてやり過ごすこと。6月から9月の台風シーズンは護衛艦乗りは台風が土日でも夏休み中でも台風が来ると船に買えり避泊のための出港があるので、天気予報を見ながらピリピリしています。陸勤務者には関係ないのでさらに腹立たしいのです!!

避航...台風避泊で錨を下ろすと、何かあって緊急で出港する時のために錨を通常収納せずに海に切り捨て、そして台風が去った後に切り離して海に沈んだ錨を回収できるようにする準備があるのですがそれが大変でみんな大嫌い(休暇を切り上げられていると士気も低いのです)。なので大した台風でないときは島陰などの静かなところを航行しやり過ごす方法。また若手航海指揮官の経験のため敢えて荒れた海を行くという説もある。旧海軍ではそれをやりすぎ艦首を波にえぐられた駆逐艦も存在します(沈没はしてません)

 

上陸...陸に上がること。港に入港後補給などが終わり自由になり遊びに行ける時間、当直、勤務終了後外に出ることを指す

一般の会社でいうところの退社時間のようなもの。独身の間は基本は船が居住地(住民票も)になっている。

帰艦...上陸の反対語。基本は船が家なので帰艦となる。いわゆる出社時間。

 

ラッタル...艦の中の急な全ての階段のこと。垂直の階段も含む。英語のラダーがなまったもの。

 

ダビッド...いわゆるクレーンのようなもの。滑車をつけ索(ロープ)を引っ張り様々な物の揚げ降ろしを行う。

 

内火艇(ないかてい)...護衛艦に備え付けの多用途に使用する搭載艇。民間船の救難艇とは似て非なるもの。錨泊時などには上陸する非番の人間を送り迎えする。

 

・ワッチ...当直のこと。英語のWATCH(ウオッチ)から。 見張りや艦橋、機関部、レーダーなどそれぞれの当直勤務。洋上では24時間を3ないし4交代で回ってくる。ワッチの合間も訓練や食事・入浴がある。基本休憩という概念はない。合間合間で休めるとこで各々休むことを覚える必要がある。(現在4交代はほぼ運用されていない模様)

上陸止め...懲戒までいくようなミスではなく、ちょっとしたヘマなどに対する上陸をさせず反省させる罰直のようなもの。若い隊員にはとてつもなく痛い罰直。(働き方改革によ強制上陸止めはない模様。本人の姿勢により上陸自粛はある模様)

当直(入港時)...出港中のワッチとは別に入港中はあまりワッチとは言わず当直という。海士クラスは4日に一回の24時間船に泊まる当直のこと。3等海曹,2等海曹で5日に一回、1等海曹なら6日に一回の変わらないペースで回ってくる。例えば休暇を取るなら海士は基本3連休が最長となる。海曹なら4連休が最長。大型連休はお互い交代して休暇を取ることが出来るが、連当になることが多い。24時間の泊りの中で舷門立直、機関当直、システム当直などが同じ当直員の中で数時間ごとに回ってくる。2連当なら48時間上陸できない。※岸壁内の売店などには行ける。24時間泊りの当直の中で舷門立直などのワッチの時間以外は平日なら他の乗員もいるので普通の自分の仕事をする。休日の当直は当直員しかいないのでワッチ以外の時はゆっくりと過ごすことが出来る。海士と海曹の当直周期が違うので、自分の上司と被る時もあるが、被らないときはゆっくりできたりとか色々ある。(現在当直間隔は働き方改革により階級区別はしていない模様)

 

・甲板掃除...普通の人には甲板というと船の外にさらされた部分の鉄の上のイメージかもしれないが中の部分も甲板という。ので掃除は甲板掃除と呼ぶことになる。海自では船の生活が基本なので教育隊や術科学校などの陸上でも掃除は甲板掃除という。※甲板の数え方。船の基本となる面を上甲板、甲板を1段上がるごとに2甲板、3甲板、下がると01甲板、02甲板と呼称する。

もやい...船を岸壁に係留するための太いロープのこと。海自ではロープという呼称を使うことはない。

外舷索...基本的な太さのロープのこと。上記と同様ロープとは言わない。物の揚げ降ろしから、船が揺れる時の移動物の固定などにも多用途に使う。年に一回術科競技というのがあり結索(ロープワーク)を競うものもある。他にも色々競技がある。単純に索という場合多し。

 

数字の数え方...1(ひと)2(ふた)3(さん)4(よん)5(ご)6(ろく)7(なな)8(やー)9(きゅう)0(まる)

甲板を数えると2(ふた)甲板、02(まるふた)甲板などという。

時計の読み方と表記の仕方...時間を言うときは、14:00(じゅうよじ)とは呼称表記せず、1400i (ひとよんまるまる)と表記、呼称する。i はインディアと読み、グリニッジ標準時を基準0(Z:ずーる)として、9番目の時差体を表す。航海でインド用方面に時差体が変わればH、G、Fと下がり、太平洋方面にかわればJ、Kとなる。※職業病で電車の時間とかも16:39発ならひとろくさんきゅうと言ってしまう...。

宜候(ヨーソロー)...宜しく候から。意味と語源は諸説ある。操舵号令で、ジャイロコンパスを見ながら航海指揮官(当直士官)が操舵手に転舵を命じるときに使う。0度に北進から90度に転進するときの具体例でみる。航士『おもーかーじ』操舵手『おもーかーじ』舵輪を回し『面舵15度』90度に近づいてきたら舵を航士『もどーせー』操舵『もどーせー』舵輪を戻し『舵中央』航士『取舵にあて』操舵『取舵7度』航士『90度よーそろう』この時操舵手は進路を90度にぴったり合わせ終えたら『よーそろう90度』と言って返す。これが決まった形で理由は聞いたことはないが、実際に舵輪(ハンドル)を握っているのは操舵手のため、最後は操舵手が90度に合わせる微調整をしてね『よろしくね』と責任を一旦預ける形になり、操舵手が90度に合わせたら『よろしく合わせましたよ!!』的な感じでまた責任を航海指揮官に返しているのではないかと思います。若い頃小生は90度に寄せろ!よせろ、よーせろ、ヨーソローだと思ってました

 

上記の補足...艦橋当直は、航海科の特技の人と、砲雷科の水測員を除く、各々の職種のレーダーや大砲などのワッチからあぶれる中堅から若手の海曹士で構成される。航海科は信号当直といい、僚艦からの手旗・発光信号などに備えるため舵などは余裕があるとき以外はあまりとらない。砲雷科の一番若手海士から配置は見張り×2、年数が上がれば当番操舵員速力通信機員伝令当直海曹という割り当てになる。その中で見張りはずっと外なので艦橋内の砲雷科の5人で操舵や速力通信機を飽きないように1ワッチの間順ぐり回しながら任務に就く。 ※小生も見張りを3年ほどやって当番をやるようになり、辞める間際は当直海曹で艦橋ワッチにはいるか、特技の射撃レーダーのワッチに入るかのどちらかでした。

・操舵の操法...舵は左右30度まで切ることが出来る。が基本面舵取舵と言われたら15度、あて舵(車で言うところの逆ハンドルを切る)は半分(7度)、指揮官に面舵一杯と言われたら30度、あて舵15度と決まっている。また速力が出ている時は舵の切り方が変わるが変わり目を小生は忘れました...

 

・出戻り...術科学校や初任海曹課程などの教育部隊に行き、修業後、他の船への配属にならずに、転勤前の船に再度配属されること。稀に術科学校などに行く前から、『お前出戻りな!』とひも付きで行く場合もある...。ひも付きで行くと転勤したい人にとってはテンションだだ下がりらしい...。  原隊復帰の欄も参照!!

行き足...(いきあし)船のスクリューを止めても進んでしまう勢いのこと。転じて遊びに仕事に元気、勢いのある隊員のことを指す。例『あいつ行き足あるわ~!!(勢い、元気あるわ!)』(誉め言葉)

 

・立て付け...学校行事などでいえば予行演習のことです。語源は多分建築の建付けからではないかと思います

 

陣形行動中の護衛艦

部隊編成編        

・教育隊...新入隊訓練と、3等海曹昇任後に初任海曹教育を受けるため2回行く必要がある。新入隊は4か月、初任海曹は3か月。

入隊期別...Y(横須賀)M(舞鶴)K(呉)S(佐世保)-TC(教育隊の略=トレーニングセンター)を頭に、数字をつけ場所と期別を表します。 横須賀教育隊の練習員ならY-334期などと記す。場所が違っても数字が同じなら全国どこでも同期です。

練習員...任期制隊員のこと。海自では1任期目は3年、3年後の継続からは2年更新。空自も同様。陸自は2年ごとの更新。ただし任期制隊員のことを練習員と呼ぶのは海自のみ。陸空はなんというかは知りません。任期終了後満期退職金が出る。継続しても出る!

補士...練習員とは違い最初から定年制で入隊する期別のこと。3年から7年での3曹昇任が約束されている

8期補士などという。※現在は曹候補学生と統合され、新システムに移行。

曹候補学生...補士より上級の2年での3曹昇任が約束されている入隊期別。曹候22期などと短縮して呼ぶ。

練習員、補士、曹候すべて同じ場所で教育スタートするので同じ年入隊ならほぼ同期として扱う。

・護衛艦隊...護衛艦部隊の実働部隊。1から4個群の護衛隊群からなる。

護衛隊群...横須賀・佐世保・舞鶴・呉に1~4護衛隊群の司令部がある。1個護衛隊群は2個護衛隊からなる。(昔は3個護衛隊編成)

・護衛隊 ...4隻の艦で編成される(昔は2~3隻)

 

・分隊...護衛艦艦内の乗員の編成。職種の分類でもあり、1~5分隊まである。陸自の編成の分隊とかとは違います。1分隊=砲雷科(1D)2分隊=船務科・航海科(2D)3分隊=機関科(3D)4分隊=補給科・庶務科(4D)5分隊=飛行科(5D)。D=division=部,局,科

・マーク(特技)...職種のこと。砲雷科=射撃、射管(射撃管制)、水測、魚雷、運用。船務科=通信、電測、電子整備、航海科=航海、気象。機関科=電気、ディーゼル、ガスタービン、蒸気(絶滅危惧種)、補給科庶務科=補給、庶務、給養。

・地方連絡部(地連)...現・地方協力本部(地本)。自衛官募集のための全国営業所。3自衛隊から隊員が派遣され、入隊予定者をかき集める人さらい部隊(笑)

・原隊復帰...術科学校や期限付きの臨時勤務で他の配置に行っておきながら、成績不振や怪我病気で修業できないとか満了できなくて元の船(部隊)に戻されること。 上記の出戻りとは意味が近いが、海上自衛隊ではどちらかというと原隊復帰は辱めの意味合いが濃い

・術校(じゅっこう)術科学校のこと 第1~4術科学校まである。1術校砲雷科船務・航海・気象1D,2Dが行く(江田島)、2術校機関(3D)(横須賀)、3術校=航空関係(5D)(下総)、4術校=補給、庶務、調理(4D)(舞鶴)に所在する。

海士課程、海曹課程、専修課程、上級海曹課程がある。海士・海曹課程は絶対に行かねばなりません。海士、海曹課程は各々の特技の共通項目を習得する。専修科は特に砲雷科に多く存在し、特技の中でも一つのことに専門的な知識を習得するために行く。上級海曹は特技は関係なく上級海曹としての業務について履修する。 旧い人達は海士課程を普通科、海曹課程を高等科と呼んでいた。

 

 

護衛艦艦尾に翻る自衛官旗

 

隠語・専門語編

・赤表紙...学校の内申書みたいなもの。勤務評定や過去の教育部隊での成績順位などが書いてあり。基本的に見ることはできない。

・黒表紙...主に転属履歴、有資格、賞罰歴、号俸歴などが書いてある。上司に頼めば普通に見れるもの

・オスタップ...甲板掃除用のでかいバケツのこと。英語・ウオッシュタブのなまり語

・チャーリー(C)...仕事のできない隊員のことを指す。もしくはミスすること。勤務評定(ABCD評価)からきてる説と、〇(マル=優秀の意)マルの一部が欠ける(足りない)とCになることからくる説。 最近は言わないかも。当然辱めの言葉!!

・アブラムシ(禁句)...砲雷科員が機関科員を陰でバカにするときに使う(禁句)伝統的に機関科と砲雷科は何故かどこの船も仲が悪い。たぶん大鑑巨砲主義時代の名残で戦艦のメインは砲雷科の中でも特に射撃だという伝統があるからだと思う。事実射撃系の術科学校では射撃・射管クラスは戦闘(先頭)分隊だという教えがある。砲雷科特に射撃関係員は戦闘で先頭に立てという意味をかけてる。

・飯炊き(禁句)...給養員のことを指す(禁句)

掃布(ソーフ)...甲板掃除に使う柄のついたモップのこと。当然モップとは絶対言わない。

物干場(ぶっかんば) 洗濯物を干すための部屋。

  

 

 所長の海上自衛隊記はこちらへどうぞ

 

 

 

 

 

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